【不定期エッセイ:再放送その40】夢の話、続き

  • 2007/12/30(日) 09:22:54

【優星不定期エッセイ:再放送その40】土・日掲載予定
 
■夢の話、続き

夢の話で、もうひとつあります。
かつて私がまだ実家にいた頃、ずいぶん昔になりますが、
ある年のお正月の事、私はコタツに入ってテレビを観ていた。
お正月の番組って、どうしてあんなに退屈なのでしょうか、
どこを回してもお笑い番組ばかりです。
 
その中でNHKが新春コンサートを流していました。
クラシックのコンサートです、何気なくぼ〜っと観ているうちに
私はいねむりをしてしまった。そして夢をみました。
 
私はどこかヨーロッパの田舎にいるらしい、小さな川の畔を散歩している、
とても暖かくて気持ちのいい場所で、心地良い風も吹いている。
その川の畔には、名画に出てくるような背の高い木々が並んでいる。
 
向こうから自転車に乗ったおじさんがやって来て、私に挨拶をした、
私も気持ちよく「こんにちわ」と返した。
なんて気持ちのいい日なんだ、と自分でかみしめている。
そして、遠くに見える風車小屋まで今日は散歩しようと思っている。
 
ゆっくりと歩く。川の水が流れる音も聞こえてきます。
空は実に透明な青で、空気にも香りがある。
 
ほんとうに暖かくて気持ちが良くて、平和な一時でした。
ふと目がさめると、実家の自分の部屋のコタツの中でした。
 
テレビでは、まだクラシックのコンサートが続いている。
私は、驚きました。
流れていたのは、ベートーベンの交響曲6番「田園」でした。
しばらくは頭がぼ〜〜っとしていて、自分が夢か現実かどちらにいるのか、
わからないような状態でした。
 
それまでクラシック音楽には特に興味はなく、どちらかと言うと苦手な方で、
その頃聴いていたのはプログレッシブと呼ばれるロック系の音楽でした。
 
しかし、その日から、自分の中で何かが変わったのが解りました。
「田園」という音を聴いて、はっきりと映像が見えた。
 
一瞬、高い次元にあるものを垣間見ることができました。
あれからずいぶんと時間がたちますが、
あれほど鮮明に見えた事はありません。
しかし、近い経験はあります。
映画音楽など、音と映像がワンセットになっている作品を除けば、
クラシック系を聴くと、映像が見える事があります。
 
カナダの作曲家で、アンドレ・ギャニュオンという人がいますが、
彼の作品を聴くと、よく映像が出てきます。
一度も北欧やカナダには行った事はありませんが、
どこかでかつて見た写真やテレビなどの記憶だと思いますが、
頭の中に浮かんできます。
 
しかし、これはあの夢の中で経験した事とは根本的に違うような気もします。
 
あの夢の中では、ただ映像だけではなくて、五感で感じた現実感があった。
ある意味では実体験だったのかも知れません。
人は魂の輪廻を続けていると言います、かつて生きて生活していた記憶が、
あの時浮かんで来たのかも知れません。
 
人の心の奥深くには、今までの人生、そして生まれる前の記憶、
そしてその前の人生、ずっと古くからの記憶がきちんと存在すると言います。
 
夢はただ単純に、現実の記憶のランダムな組み替えだけではないのでしょうね。
 
いつか、またあんな夢を見たい。


おわり。
次は来週掲載します!