【不定期エッセイ:再放送その19】留学生A君
- 2007/10/13(土) 11:03:55
【優星不定期エッセイ:再放送その19】土・日掲載予定
■留学生A君
ずいぶん古い話なんですが、私がまだ20代前半だったころです。
北野の喫茶店に良く通ってた時期があって、
(あ、このお店は今もあります)
ここは、以前は喫茶店だけだったんだけど、
10年ほど前から、夜はカフェバーになりました。
で、そこで出会ったニュージーランドからの留学生の話です。
彼、A君は◯◯大学の交換生として初めて日本にやってきた。
まだ来日して数カ月、でも、そこそこカタコトながら日本語は話せます。
日本文学を専攻しています。
ある日、私がその喫茶店に行くと、そこのママさんから紹介されました。
「彼、日本に来て数カ月で、まだ友人がいないらしいのよ…」
「伊藤君、歳も近いし、友だちになってあげてよ…」
と、いうことです。
「ああ、いいよ、じゃあ、僕が友だちになってあげるよ。」
「サンキュー!!アリガトウ!」
てな、調子です。
彼とは一つ違いで、私が上でしたが、
ほんと、きさくなイイヤツでね、陽気で元気だ。
顔はどことなくポール・マッカートニー風、かわいい幼さが残る感じです。
会話は私がカタコトの英語で、彼は同じくカタコトの日本語です。
ああ、しかし、あの当時私は英語はソコソコ喋れたのになあ(笑)
今は、さっぱりダメですね〜
言葉は生き物なんだな、話しているうちになんとなく意志は通じるモノなんですね、
勉強だと思って、お互い辞書片手に頑張っていた。
どうしても複雑な事を伝えたい時には、
紙に絵を書いてコミュニケーションしました。
レッツコミュニケーションオンペーパー!です。(笑)
彼とは、いろんな所に遊びに行きました。
日本文化に初めて触れるギャップ、彼の反応が面白くて、
よく笑わせていただきました。
お好み焼き屋さんに行った時なんか、やっぱりイカとかタコはダメなんだな、
びっくりしてて、生のタコやイカを直視できないでいるんですね〜
寿司屋さんも、そうだったなあ。
しかし、そのわりによく食べてたけどね。
ナマ物は、だいたいダメみたいですね、絶対食べなかったです。
(寿司も火を通したネタか、タマゴ、あるいは細巻でしたが…)
スナックのカラオケも笑った!
彼はビートルズを歌ったんだけど、これが下手だ!
発音は正しいのであるが、歌は下手。なるほど人生いろいろだなぁ。
普段は明るく元気で、しかもジェントリーな彼ですが、
一度ものすごく怒った事があって、その怒りっぷりにびっくりした!
ある夜、私達は2人でいつものように北野へ飲みに行こうとしていた。
彼がタバコを買うから、ちょっと待ってくれと言う、
ああ、いいよ。そこに自動販売機があるよ。
で、彼はお金を入れた。
しかし!タバコが出てこない!
何度かボタンをガチャガチャいわしたんだけど、ダメです。
「なぜ、タバコがでないのだ?」(ここから英語です。)
その自動販売機は、道ばたにポツンと置かれていて、
近所にはお店もみあたらない、機械に書かれている連絡先も消えかかっている。
どうしようもないよね、夜9時ごろだったし、
こんな時、日本人ならどうするでしょうか?
運が悪かった、今日はツイてないなああ、しゃあないなあ、
と、あきらめたりしますよね?しませんか?
しかし、彼は急に激しく怒りだした!
「なぜ、タバコが出てこないのだ!!」(以下英語で…)
「私のお金を返せ!!」
えらい激怒しているのです!
まあまあ、運が悪い時もあるさ、どうしようもないよ。あきらめよう。と、私。
「なぜだ!!?なぜあきらめなくてはならないのか!」
「商品が出ないのなら、お金を返さなくてはならない!」
と、いうような意味の事を大声で叫びだした!
なんだなんだ?ぞろぞろと野次馬も集まり始めた。
これはヤバイなあ、と思っていると、A君は実力行使に出た。
自動販売機を殴りはじめた!ボコンボコンとパンチ!
こらこら、やめろ、やめろって!
激高した彼は、さらに蹴りを入れ始めた!
ガツンボコンとキック!
うわああ、何するんだぁ!やめろやめろ!!
まわりはすでに野次馬がたくさん集って遠巻きにして見ている。
そのうち誰かが言った!
「ガイジンが暴れているぞ!警察をよべ!」
さすがに、これはヤバイ!逃げるしかないっ!
「逃げるぞ!!おい!もうやめろったら!!」
私は無理矢理彼の腕を引っ張って、逃げた。
必死で走って、北野の目的地であるお店に飛び込んだ。
はあはあ、ふうふう、彼はまだ怒っている…
「あのなあ、タバコひとつぐらいで、マジに怒るなよ。」
と、言いたいのだけれど、興奮していてうまく英語が出てこない…
そんな困った私を見て、さすがにA君も気がついた。
1杯、2杯、ウイスキー飲んで、少しは落ち着いてきた。
「ソリー。」
ううむ、そりーやあるかい、ちゅうねん。
無茶するやっちゃで、ほんま。びっくりするで。
普段は、絶対にそんな荒っぽいヤツには見えない、
おとなしいジェントリーなヤツなのになあ、別の顔をみた。
ここらへんが狩猟民族と農耕民族の違いなのかって、
そんな話ではないけれど、あちらは自分の意見をハッキリと主張する、
日本人は、とにかく、まあまあ、ここはソレ、アレと言うことで。
などと、ボカシてしまいます。
いろいろ考えさせられた夜でしたね。
その彼が、ニュージーランドへ帰る時に私は、横尾忠則氏の作品集をプレゼントしました。
とてもよろこんでくれました。おおげさだよ、というぐらいに喜んだ。
その彼とも、もうずいぶん連絡がありません。
風の噂によると、数年後日本に帰化して、今は京都で居酒屋さんをしているらしい。
えらく太ってしまって、むかしのハンサムボーイの面影はないらしい(笑)
元気で活躍しているんだな。よかったよ。
まあ、若い日の思い出ですね。
教訓:人は見かけによらない。と、いうことですか。
おわり。
次は明日掲載します!
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この記事に対するコメント
ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
面白いー!!お国柄の違いが出ますね。
自販機の会社に勤めていたので、そういうときの対処法ですが、連絡先のシールが自販機に貼ってあるので、それを控えて後日電話をするのです。自販機の中を調べて返金(郵送)してくれるはずですよ。
なるほど、そういう方法があるんですね。
しかし、当時はかなり興奮していて、それどころでは無かったですよ(笑)
ほんとに、外国人って何だか急に怒り出すときがありますね(@@;)
何で怒っているのか理解に苦しむ時があります…
にいなさんも、その辺り苦労されているんじゃないですか?(^^;)